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医療者の採用時に必ず行うべき「ペルソナ」と設定と活用方法

一般業界ではマーケティングの領域で広く行われているペルソナ設計ですが、医療業界の採用においては、これを実践できている医療機関は多くないと思われます。

本ページでは、マッチする人材の獲得に必須である採用ペルソナについて具体例を挙げて説明しています。

これを実践することで他院と差別化ができ、理想の人材の採用が実現できるかもしれません。

目次

ペルソナとは何か?

採用におけるペルソナとは、貴院で採用したい求人像を具体的に詳細な情報まで設定した架空の人物像のことです。

性別や年齢、居住地、家族構成、学校や前職での経験、趣味、ライフスタイルなどの情報を具体的に設計してペルソナを作り上げていくことで、採用側が必要と考える人材像と現場が採用したい人材とのズレを少なくすると同時に、入職後のミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。

採用におけるペルソナでは年齢、性別、職業、興味、価値観といった情報以外にも、スキルや経験、期待する役割まで想定しておくことで、採用するべき人物像がより明確になります。

ターゲットとの違い

採用ペルソナは具体的な人物像が設定されているのに対し、採用ターゲットとは特定の人物ではなく、性別や年齢などの特定の属性を持つ「層」を対象としているため、採用ペルソナのように人物像が細かくありません。

ペルソナを設定するメリット

採用ペルソナを設定することで、以下のようなメリットがあります。

  • 転職者視点から求人を設計できる:
    転職者がなぜ転職するに至ったのか、転職先に求めるポイントが分かります。
  • 転職者への訴求するべきポイントが明らかになる:
    転職するきっかけとなったエピソードに対する解決策を提示できるため、ペルソナの悩みを解決した訴求ポイントを設定することができます。
  • 組織内での求人像にズレが生じにくい:
    人物像の他に期待する役割まで示すことで、組織の他スタッフも共通認識が持てるようになり、現場レベルでもミスマッチを減らすことができます。

具体的なペルソナ設定のやり方

採用において最低限設定すべきペルソナの項目としては以下の項目があります。

  • 性別、年齢
  • 経験
  • スキル・能力
  • 役割
  • 働く上で大事にしていること

例えば患者さんとしっかり対話できる人格重視の医師の採用を考えた際のペルソナとして具体例を以下にお示しします。

ペルソナ設定の例

40歳男性、整形外科専門医、都内の総合病院で勤務医として勤務。現在は妻と息子1人の3人暮らしをしている。将来的な開業を見越して外来スキルを磨いていきたいと考えているが、現在の職場では1日のスケジュールが過密で、患者さんとしっかり対話する時間が取れず、横流しのような外来になってしまっていることに対して不満を感じている。また、ワークライフバランスを重視しており、仕事も家庭も大切にしたいと考えているが、現在の職場は時間外勤務が多く帰宅が深夜になることもしばしばあり、家族との時間が犠牲になっているため今回転職を検討するに至った。

ペルソナを元にした求人への落とし込み

ペルソナの設定が完了したら次は、ペルソナに対して求人でアピールすべきことを整理します。ペルソナのそれぞれの項目に対してアピールポイントを整理することで、必要な情報を体系的に記載することができます。また、その際に以下の点を明確にすることでさらに求人に対する解像度を高めることができます。

採用する目的、背景は何か

欠員補充であれば退職した理由は何か、業務拡大であれば今後目指す先は何かを記載することで方向性を一致させることができます。

働く環境はどのようなものか

残業や休日休暇に対する考え方を示すことで現在の働き方改革に沿った職場であることをアピールできます。

採用基準を明確にする

必須要件(must)、推奨要件(better)、希望要件(want)を記載し、基準を明確にすることで最低水準を確保することができます。

採用の市況感を考慮する

ペルソナが転職市場の市況感を無視したものでは、そもそも応募が来ることはありません。給与水準やそれに応じた求めるレベルなど、総合的に見て市況から大幅に外れていないことを客観視する必要があります。

求人への落とし込みの例

上記をふまえた求人例は、下記の通りです。

求人例

整形外科外来強化に伴い、外来業務を担っていただける先生を募集します。当院では外来の診察枠を拡充し、それぞれに秘書を配置することで、先生が一人一人の患者さんにしっかりと向き合った診療をしていただける環境作りをしています。


また、当院ではオンオフのメリハリをつけた勤務を推奨しており、業務時間内をしっかり働き定時で業務を終えることを重視しています。そのため時間外業務は平均5時間で、平均有給取得日数は〇〇日であり、ワークライフバランスを両立させることができます。

求人要件
  • 必須要件(must)…整形外科専門医、当院の方針に共感いただける先生
  • 推奨要件(better)…コメディカルに対する配慮ができる
  • 希望要件(want)…各種手技が一通り自立して行えること、経営的な目線を持ち診察ペースなどにも気を配れる方

ペルソナのインサイトを深掘る

さらに可能であれば以下の項目もペルソナに入れてみるとさらに求職者の人物像が深まります。

前職の何がきっかけで転職するのか

転職の際の課題をクリアできなければ入職後もミスマッチを解消することはできず早期退職に繋がります。逆にここをクリアすることで大きなアドバンテージを得ることができます。

何を求めて転職をするのか

上記と重複するところですが、求職者が求める具体的な条件を汲み取ることで、入職したくなる魅力的なオファーを提示することができます。

なぜ貴院を応募するのか

数多くある医療機関の中で、なぜ自分の病院/クリニックに応募してくるかを分析することも重要な作業です。これは院内の活躍するスタッフになぜ自院を選んでくれたかをヒアリングすることでヒントが生まれます。

これらを考えることで、求職者が望んでいることに対する価値を具体的に提供することができ、ペルソナに合致した求職者の応募が期待できます。

ペルソナ設計の注意点

採用におけるペルソナ設計では、以下の点を注意することが大切です。

ペルソナ設計は現場が重要

必要とされている人材の答えは現場にあるので、現場とすり合わせながら設計することが重要です。間違っても経営陣のみで現場に問いかけをせず設計することがないようにしましょう。

適宜ペルソナは見直して修正をする必要がある

現場とすり合わせてペルソナ設計をしても、時間とともに刻々と必要な人材は変化します。定期的にペルソナを見直し、それに対応する求人も修正する必要があります。

ペルソナは複数用意する

単一のペルソナにこだわりすぎると、採用する人材も画一的になり、変化に対応できない組織になってしまう恐れがあります。ペルソナは複数設定し、スタッフの多様性を確保することが重要です。

ペルソナは細かくしすぎると応募が来ない

当たり前のことですが、市場にいるマッチした人材からしか採用はできません。したがってペルソナを細かく設定しすぎると、それに合致した人材の母数が減ってしまい、応募が来なくなる可能性があります。

まとめ

本記事のまとめ
  • 採用におけるペルソナとは、採用したい求人像を具体的に詳細な情報まで設定した架空の人物像のことです。ターゲットとは採用したい「層」というやや広い概念に対して、ペルソナは具体的な人物像まで設定します。
  • ペルソナを設定することで、転職者視点から求人を設計できたり、転職者への訴求するべきポイントが明確になる、組織内での求人像にズレが生じにくいなどのメリットがあります。
  • ペルソナの設計においては現場の意見を重視し、定期的に見直し修正することが重要です。単一のペルソナではなく複数用意して、それぞれのペルソナは細かくしすぎないよう注意しましょう。
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