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医療者の採用コストを抑える最良の方法は早期離職者を減らすこと

この記事では、医療者の採用コストを抑えるための最良の方法「早期離職者を減らすためのノウハウ」をご紹介します。

「医師を採用したもののすぐに辞めてしまった」「そもそも求めているような医師が集まらず、募集のための広告費や人材紹介会社への手数料などのコストだけが高騰している」

このような悩みを持つ病院の採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

医師不足により、医療者の採用コストは高騰するばかり

2019年時点で、日本における人口1,000人あたりの医師数は2.4人。厚生労働省の医師数推計から計算すると、日本における人口1,000人あたりの医師数は2030年前後に3人程度に達する見込みではあるものの、いずれにせよ長期にわたって医師不足に悩む病院が多いことは明らかです。

特に訴訟に発展する可能性が高い科や長時間労働・低賃金など労働条件が劣悪だと言われることの多い科では相次いで医師が退職したり医師に選択されにくくなったりしているという現状があります。

上記のような状況から、医師採用のために人材紹介会社や医師採用向けの求人広告媒体などを利用する医院も少なくはないでしょう。

しかしここで言及したいのが、採用コストの高さです。

2020年に発表された福祉医療機構のアンケートでは人材紹介会社が病院に医師を紹介した場合の平均紹介手数料は352万円でした。

また医師採用向けの求人広告媒体の料金について調査してみると、1年で50万円、成功報酬型のプランではおよそ200万円を要するなど、採用コストは高騰していることが伺えます。

一般病院の医業利益率は平均1.8%(2018年度決算)といわれているため、病院の経営が圧迫されるケースも少なくないでしょう。

参考:日医総研「医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2019

参考:文部科学省「医師不足に対する病院勤務医の現状と提案、及びその理由について

参考:福祉医療機構「医師の人材紹介平均手数料は352万円、看護師は76万円

医療者の採用コストを抑える最良の方法は早期離職者を減らすこと

医療者の採用コストを抑える方法として、さまざまな選択肢が考えられますが、最も確実なのは「早期離職者を減らすこと」です。

人材紹介会社などを利用してせっかく医師を採用できたとしても、ミスマッチなどによる早期離職が起こってしまえば意味がありません。

再度新しい人材を採用するための時間的・金銭的なコストが発生するため、より病院の経営が圧迫されてしまうリスクも考えられます。

実際、人材紹介会社から採用した医師の採用後1年以内の離職率は15.8%、看護師においては20.3%だというデータも出ており、積極的に依存するべき媒体ではありません。

短期的な採用ニーズを満たすことに目を向けるのではなく、長期的な目線で採用に取り組むことが大切です。

参考:全日本病院協会「病院の人材紹介手数料」に関するアンケート調査-調査結果概要

参考:日本経済新聞「人材紹介料、短期離職で返還 優良認定で規制強化

医療者の早期離職者を減らす方法は主に2つ

本題である医療者の早期離職者を減らす方法は、大きく分けて以下の2つが考えられます。

医師の早期離職を減らす方法
  • 働きやすい職場環境の整備
  • 採用手法の改善

それぞれの方法について、以下で詳しく紹介します。

①長期的に健康かつ安心して働くことができる職場環境の整備

医療者の早期離職者を減らすためには、医療者が長期的に健康かつ安心して働くことができる職場環境を整備することが大切です。

  • 医療者が相談しやすい環境作りや、実際に寄せられた相談内容をもとに職場環境を改善するなど、メンタルサポートを強化すること
  • タスクシフトの推進により業務の効率化や業務量の最適化を目指すこと
  • キャリア形成支援(キャリアパス)によって働きがいを感じてもらえるような職場環境を作ること

上記のように、職場環境を整備するためにできることは多くあります。

また2019年から実施されているPDCAサイクルを活用した医療勤務環境改善マネジメントシステムの推進はもちろん、2024年4月から実施される医師の働き方改革など、医療機関の勤務環境の改善に向けた取り組みは年々強化されています。

特に医師の働き方改革には医療施設の最適配置の推進、地域間・診療科間の医師偏在の是正、労務管理の適正化、時間外労働の上限規制、医師の健康確保など様々な解決策が盛り込まれています。

医師の働き方改革では適応出来なかった場合の罰則についても定められているため、きちんと対応していくことが求められます。

医師の働き方改革についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

関連記事:現役医師が解説!医師の働き方改革のポイントをわかりやすく解説

②採用手法の改善

医療者の早期離職者を減らすためには、採用手法の改善を図ることも大切です。

特におすすめの採用手法としては、次の2つが挙げられます。

  • スポットバイトからの採用を視野に入れる
  • リファラル採用の仕組みを強化する

スポットバイトからの採用を視野に入れる

まず、スポットバイトにきた医師に病院の良さを知ってもらい、定期非常勤や常勤の医師として採用する方法がおすすめです。スポットバイトとは、臨時で特定の日付だけ勤務してもらう方法です。

先ほども触れた医師の働き方改革の施行により、今後医師の給与が下がっていく可能性もあるため、非常勤バイト先の確保を視野に入れる医師も増加することが予想されます。

スポットバイト経由での採用では、このような潜在的な人材にアプローチできるだけではなく、採用後のミスマッチを防ぐことにも繋がるでしょう。

また、採用コストを直接的に下げることにも繋がります。

リファラル採用の仕組みを強化する

勤務しているスタッフやバイトで来た医師に新たな人材を推薦・紹介してもらう、リファラル採用の仕組みをつくることもポイントです。

スタッフやバイトに来た医師は自院のことをよく知っているため、マッチング率や定着率の高さにも期待できます。

ただし採用活動はスタッフ・バイトが本来行う業務ではありません。

職場環境や人間関係への不満・不信感がある場合、リファラル採用の仕組みはうまく機能しないため、魅力的な職場作りにも力を入れることが大前提です。

また、リファラル採用は短期的に大きな効果が見込める方法ではありません。スポットバイトなども活用しながら、中長期的な目線で取り組むことがポイントです。

医師の採用方法についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

関連記事:人材紹介会社に頼らない定着人材の採用手法3選

関連記事:コストを下げ定着率を上げる「勝てる」医師の採用方法

まとめ

本記事のまとめ
  • 医師不足により、医療者の採用コストは高騰し続けている
  • 医療者の採用コストを抑える最良の方法は長期的な目線で採用に取り組み早期離職者を減らすこと
  • 医療者の早期離職者を減らす方法は①働きやすい職場環境の整備と②採用手法の改善の2つ
  • 採用手法の改善には①スポットバイトからの採用を視野に入れることと②リファラル採用の仕組みを強化することがポイント
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