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医師の働き方改革で解決すべき現状の問題点まとめ

その本記事では「なぜ医師の働き方改革が必要となったのか」「医療の現場では現状どういった問題が起きているのか」を解説しています。

目次

常勤勤務医の半数が過労死ラインを超える業務に晒されている

我が国の医療は医師の自己犠牲的な長時間労働に支えられており、危機的な状況にあります。

厚生労働省「令和元年 医師の勤務実態調査」によれば、病院常勤勤務医の37.8%が一般的に過労死ラインとされる月80時間の時間外労働を行っています。

病院常勤勤務医の8.5%は過労死ラインの2倍である月160時間もの時間外労働を行っています。

参考:Microsoft PowerPoint – R1年医師勤務実態調査 (mhlw.go.jp)

厚生労働省「STOP!過労死パンフレット」によれば、時間外労働が月45時間を超えて長くなるほど脳・心臓疾患の発症の可能性が高くなるとされています。

1か月に100時間超または2~6か月にわたって80時間超の時間外労働を行った場合、さらに業務と発症の関連性が強くなるとされています。

また、業務における強い心理的負荷による精神障害のために自殺に至る場合があるとされています。

過重労働は作業効率の低下、医療事故の発生を招く

厚生労働省「STOP!過労死パンフレット」によれば、時間外労働が月45時間を超えて長くなるほど脳・心臓疾患の発症の可能性が高くなるとされています。

1か月に100時間超または2~6か月にわたって80時間超の時間外労働を行った場合、さらに業務と発症の関連性が強くなるとされています。また、業務における強い心理的負荷による精神障害のために自殺に至る場合があるとされています。

過剰な労働が悪影響を及ぼす対象は、医師の心身に限りません。睡眠をとらずに17時間以上起床し続けていると、酒気帯び運転に相当するレベルまで作業能力が低下することが報告されています(Dawson, D. et al. Nature 388, 235(1997))。

また、短時間睡眠を連日続けた場合、睡眠時間が短ければ短いほど反応の誤りが多くなったことが報告されています(Belenky et al, J Sleep Res 2003)。

十分な睡眠を確保出来ない状態で医業を行うことは医師の判断力を鈍らせ、ひいては治療する患者さんの予後を増悪させる可能性を高めます。

参考:働き方改革をめぐる最近の動向 (mhlw.go.jp)

年次、診療科、勤務地によって時間外労働が増える

また、救急、産婦人科、外科、若手等の医師はさらに労働が長時間化する傾向が強い事が明らかになっています。医師の地域偏在も未だ是正されていません。

令和2年時点の医師偏在指標で比較すると、最も高い東京都が332.8であるのに対し、最も低い新潟県では172.7と2倍近い開きがあります。医師少数県の多忙な科では、マンパワーの不足を過剰な時間外労働で補填せざるを得ない実情があります。

参考:令和3年度 第1回医療政策研修会及び地域医療構想アドバイザー会議 医師の働き方改革について

参考:【小川構成員提出資料】 「医師の時間外労働規制について」「医師の地域偏在」

行うべき業務が医師に一極集中している

医師は昼夜を問わず患者への対応を求められる過酷な職業でありながら、入院患者診察、外来患者診察、手技・手術の施行、病院運営管理、研究・論文作成などの学術的活動、後進の医師やコメディカルの指導、紹介状や保険関係の書類作成などこなさねばならない業務は多岐に渡ります。

特に近年は医療の高度化が進んだために、医師としての高い専門性を要求される知識の蓄積や技術の修練により多くの時間が要求されるようになってきています。

それにも関わらず患者さんへの基礎的な問診や書類作成、カルテ記載など必ずしも医師としての専門性が必須とされない業務においても医師が担当していることも多く、業務が医師に集中していることも問題視されています。

日本の医師の労働環境は厳しい

図表でみる医療 2023:日本」によれば、日本における人口当たりの病床数はOECD平均の3倍に上り、また平均在院日数はOECD平均の2倍以上であると報告されています。

一方で人口当たりの勤務医の人数はOECD平均が2.1人/1000人であるのに対し、日本では1.9人/1000人と少ないのです。勤務医に限定せず、人口当たりの現役医師数で比較した場合には、OECDの中で日本はワースト5位と圧倒的な少なさを誇ります。

日本では患者さんがたくさん入院し、かつ一度入院するとなかなか退院しないため、入院患者を管理する勤務医の業務量が多いのに、仕事を分担する医師の数が少ないのです。

結果として、個々人の医師の業務量が膨大な量になることは必然であると言えます。

のみならず、平均余命は依然OECDの中で日本は最も長く、今後も高齢者の増加に伴う医療需要はさらに高まるものと考えられます。

医療ニーズも生活習慣病や悪性腫瘍治療を中心とする慢性期疾患に変化してきており、個々の患者さんが医療を必要とする期間も長期化してきています。

まとめ:医師を守るための労務管理をしっかりと機能させる必要がある

本記事のまとめ
  • 超過労働を防ぐために労務管理がしっかり為されるべきである
  • しかし労働基準法36条に規定された「36協定」を締結していない医療機関が存在していたり、客観的な時間管理が行われておらず超過労働が見過ごされている医療機関が存在することも大きな問題となっている
  • こういった現状を打破するために2024年4月から解決策として医師の働き方改革が施行される流れとなった
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